coat houses
2015

 

所在地 富山県高岡市
用途 既存棟:ギャラリー+シェアハウス 増築棟:専用住宅
構造 既存棟:木造 増築棟:鉄骨造
規模 地上1階
 
 
富山県高岡市にある古民家のコンバージョン、及び住居棟増築の計画である。
100年ほど前に建てられたこの古民家が建っていた敷地を媒介として「人の繋がり」を生む場をつくることが、施主の要望であった。
敷地の傍にある美術系大学の学生のシェアハウス+ギャラリーと施主家族の住居といったプログラムが望まれた。

古民家は数回に分けて下屋が増築され屋根の形状は複雑化し、外壁は漆喰やトタン、木、土など、形態、仕上げ共に不均一な様相となっていた。
また耐震診断した結果、既存家屋は土葺き工法で瓦屋根を葺いており、屋根荷重が重く地震に耐えるほどの水平力を有していないことがわかった。
積雪荷重1.5m地域であることを考慮すると、既存家屋の荷重を軽くするため、屋根は板金で仕上げることが望ましいと判断した。
 
本計画では古民家の形式を生かしてシェアハウス+ギャラリーにリノベーションし、増築棟では施主が求める大らかな空間の実現のために鉄骨造を採用した。
そして、それぞれ異なった構造形式、空間性、用途を持つ2棟の建物を屋根、外壁ともにガルバリウム鋼板小波板という1種類の素材で被覆(coat)することで、風景としてまとまりのある関係性を構築した。また、厚さ0.3mmの表層的な素材は建築内部の構造を隠蔽し、内部空間への想像力を強く喚起する。既存の古民家の木造伝統工法による架構、増築棟の鉄骨ラーメン造により成立する50坪のワンルームという対比的な空間も内部に足を踏み入れてはじめて体感できるのである。
 
異なる時間と空間を内包した一対の建物とそれらが敷地につくりだす場(court)において、施主の望む「人の繋がり」が生まれることを願っている。